「いつか、消えちゃえば、いいのにね。」




体育館の隅で膝を抱えて座り込み、
ボールが跳ねる音を遠くに聞きながら、
わたしとNはいつもそう言っていました。




「透明度がだんだん上がっていって、最後には消えるんだよ。」






Nはかつて学校の屋上から飛び降りようとしたことを打ち明けてくれました。






わたしとNは、まだ、生きてる。

そして未だ、消滅を想うのです。